環境規制について
About environmental regulations
六価クロムとRoHS規制
欧州及び北米の自動車産業において、1997年代から環境負荷物質(特に六価クロム、鉛、水銀、カドミウム)の低減、使用禁止・廃止の法規制が進んでいます。
EU(欧州連合)では、2002年09月に、EU市場で登録される新車について、六価クロム、鉛、水銀、カドミウム(適用除外あり)の環境負荷物質が2003年07月01日以降使用を禁止しています。
この規制では、自動車部品ごとに、六価クロム、鉛、水銀、カドミウム等の環境負荷物質の使用禁止、削減が定められており六価クロムについては、防錆用途の亜鉛メッキ等の表面処理で1車輌あたり2グラムを超えてはならないとする方針が示されました。
EUは廃車指令の規制を強化し、当初の量規制を撤廃し、段階的に使用を禁止する方針が出され、日本の自動車メーカー及び自動車部品メーカー各社も、欧州廃止指令の方針に添ってそれぞれ環境負荷物質を使用しない方針を打ち出しています。
電子機器、電気機器に関しても、EU(欧州連合)では使用を禁止するEU指令が成立しています。国内の電機メーカーも既に、六価クロムや水銀などの環境負荷物質の使用を禁止し、調達先への監査を実施するところも出て来ています。
六価クロムと環境への影響
・使用済み自動車や電子部品のクロメート皮膜が,酸性雨により溶解して皮膜中の六価クロムが土壌に浸透し、ひいては地下水が汚染されて、生活循環により人体への悪影響が心配されるに至るようになった。
その結果、自動車、電子部品、家電製品からクロメート処理品を排除する動きがヨーロッパで起こり、日本においてもその対策が急がれるようになった。
・では、人に影響されると考えられることは何だろうか?
それは、次の項目が考えられます。
- ・腐食性(鼻中隔穿孔)
- ・発ガン性(皮膚がん、肺がんなど)
- ・接触アレルギー(水ぶくれ、吹き出物など)
- ・経口毒性(死亡、肝臓不全、血液不全)
六価クロムの完全廃止へ
六価クロムは金属表面の耐蝕性・防蝕性に優れる性質から、現在、多くの工業製品の表面処理に幅広く使用されています。
ですが、環境及び人体にかなり有害なので、EUでは2007年に六価クロムの完全禁止の指令が実施されています。
六価クロムメッキから三価クロムメッキへ
現状では、ミストの少量性、排水処理の容易さ、均一の電着性、不純物除去の容易さなど、有害物質である「六価クロムメッキ」の最有力代替技術が「三価クロムメッキ」です。
三価クロムは三価クロム塩を主成分とするため毒性はなく、作業環境が改善されると同時に廃水処理も簡単になります。
六価クロム廃止で三価クロムへ
六価クロム使用禁止の動き
【第一の要因】
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クロメート処理液やクロメート処理品の脱膜中に含有する六価クロムが、人体に長時間接触すると・・・
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・クロムアレルギーの原因
・発ガン性の疑い
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作業環境から六価クロムを排除しようという動き
【第二の要因】
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ヨーロッパでは次のようなことで六価クロメート処理品より六価クロムが溶出することが懸念
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・冬季に大量に撒布される凍結防止剤(塩化カルシウム)などによる車両部品からの六価クロムの溶出
・酸性雨による廃棄部品からの六価クロムの溶出
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六価クロム溶出による環境汚染が懸念
自然環境への危険性が危惧
【何故、三価クロムなのか?】
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亜鉛メッキの防錆処理で最も理想的な方法は、一切有害な物質(六価クロムなど)を使用しないこと
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現在、クロム以外に亜鉛メッキに必要な耐食性(素地を錆から守る)が得られない
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六価クロムに替わり、人体、環境に悪影響のない三価クロムにすることで、高耐食性皮膜が得られる
六価クロムから三価へ切り替えの流れ
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①現在の流通確認。
メーカー
商社
ねじメーカー
メッキ加工業者(使用薬剤メーカー)
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②代替三価クロム化成処理と現行六価クロメート処理の性能比較検査。
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③監査及び認証。
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④流動品の品質の安定化。
切り替えの開始、実施を早急に行わなければなりません。
亜鉛の排水基準の見直しについて
亜鉛の排水基準につきましては、従来5mg/Lと定められていましたが、水生生物保全の観点から平成15年に環境基準が設定されたことを受けて、その達成・維持に必要な排水規制の在り方について、中央環境審議会が平成18年4月に「水生生物の保全に係る排水規制等の在り方について」を答申しました。
そして、これを受けた排水基準を定める省令等の一部を改正する省令(平成18年環境省令第33号)が平成18年11月10日に公布され、平成18年12月11日施行されることとなりました。
そして、下水道への排水基準を定めた下水道法施行令も同日政令354号により改正されました。これにより亜鉛の排水基準は、以下のとおりとなりました。ご注意ください。